毒舌!医療と生物をやさしく読み解く入門

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食べないモノをスケープゴートにする
"妊婦メチル水銀"報道の欺瞞と無責任



 先頃、厚労省が、妊婦に対して、「メチル水銀」が問題になる魚などの摂取
を控えるように、通達を出した。でも、消費者の方を向いてないんだなぁ〜?


【"メチル水銀"って何さ??】

 ところで、問題になっている「メチル水銀」って、何なんだ?何となく、
"水銀"ってことから、体には、悪そうな感じがする。もちろん、妊婦なら、生
まれてくる胎児への影響だって、考えるのは、当然だ。

 そもそも、地球上で、生物環境中に、放出される水銀は、その放出の仕方か
ら、2つに分けることが、出来る。1つは、自然活動である火山噴火や地殻変
動から放出される水銀。

 もう1つは、水銀の採掘から製品、消費という人為的活動によって、排出さ
れる水銀です。産業革命後、人為的な活動が、莫大に増加し、水銀の蓄積量は、
約3倍にもなりました。

 水銀には、「無機水銀」と「有機水銀」があり、相互に変化して、存在して
います。メカニズムとして、大気中には、金属水銀の蒸気が、多く含まれてい
ます。それが、太陽光により、酸化して、2価化水銀に変化。これは水溶性の
ため、雨に溶けて、地上に落ちてきます。

 地上で、再び、金属水銀に変化したり、「メチル水銀」に変わったりします。
「メチル水銀」の一部が、食物連鎖を通じて、魚介類に入ります。すなわち、
環境中の蓄積量が増えると、魚類の「メチル水銀」濃度も上がります。

 現在、大気中には、地球レベルで、自然発生した水銀が、年間2,700〜
6,000トン。人為的活動=人工的産物(工業用、塗料等)としての水銀が、
年間2,000〜3,000トン、放出されている。

 微生物などによって水銀が変化したモノが「メチル水銀」なので、海中に生
息するあらゆる生物には、量の大小こそあれ、全てに存在します。つまり、食
物連鎖の性質上、強いモノ、大型のモノの「メチル水銀」摂取量が増えること
になります。更に、魚類は、エラや体表からも、直接吸収されます。

 当然、体内蓄積量も多くなります。これを「生物濃縮」といい、環境中には、
それほど「メチル水銀」の濃度が高くないのに、生物の体の中で、高濃度な形
で現れる現象が、良く見られます。

 その魚達を、最後は、人間が食べるのですから、体への影響は多かれ少なか
れ、あることは確かです。呼吸をしたり、食べ物を食べたり、水を飲んだりす
る時に、人は水銀を摂取します。この中で、約90%を占めるのが、食事です。
その内、80%が、魚介類によるモノだと言われています。

 過去に、日本では、1950年代以降、水俣病、阿賀野川水銀中毒(イタイ
イタイ病)として知られる、神経毒を主とした「メチル水銀中毒」が、大問題と
なり、歴史的事実として、深く刻み込まれている。

 大問題の原因は、高濃度の「メチル水銀」を含んだ工場廃液であった。それ
が、河川を通って、海に流れ出し、魚介類の体内に蓄積してしまった。その時
の魚介類中の水銀濃度は、厚労省の基準値の何と、約15〜50倍にもなって
いました。

 しかし・・・

  「この大問題と、今回の件は、少し分けて考えなければなりません」

 また、上記の基準値は、1973(昭和48)年に設定されました。"魚介類の
水銀の暫定的規制値"を、「総水銀0.4ppm」「メチル水銀0.3ppm」にする
というものです。この基準値自体は、"世界一厳しいもの"ではあります。

 だが・・・

   「この基準値の"除外事項"には、大きな問題が、ありました」


【業界圧力を感じる"除外事項"】

 上に記した水銀の基準値には、ある"除外事項"が存在しました。
───────────────────────────────────
["除外事項"]
───────────────────────────────────
 ●マグロ類、カジキ類、カツオ類、および、内水面水域の河川産の魚介類(ウ
  ナギ、ナマズ)については、適用しない。→湖沼産、深海性魚介類は除く。

 ●昭和48年10月からは、深海性魚類等(メヌケ類、キンメダイ、銀だら、
  紅ズワイガニ、エッチュウバイガイ、および、サメ類)が加えられた。
───────────────────────────────────
["除外"した理由とは?]
───────────────────────────────────
 1.これらの魚種が、集中的に、食される魚種じゃないこと

 2.大量の流通魚ではないこと

 3.含有している水銀は、天然由来するものであること。

 4.摂取量の実態から見て、健康被害を生ずる恐れはないものと考えられた
   こと
───────────────────────────────────
[今では、全くおかしい理由↑]
───────────────────────────────────
 1.今から、約30年前の食生活では、そうだったかもしれないが、今では、
   特に、マグロ、カツオ、ウナギなどは、集中的に食されている。

 2.1の反対理由と一緒で、マグロ類などは、全く当てはまらない。

 3.現在では、天然由来のものではない、人為的活動によって、出している
   水銀だということが、ハッキリしている。

 4.今では、世界的に、健康被害の可能性もあるから、厚労省も、今回のよ
   うな通達を、出さざろう得ない。

 *つまり、基準値自体は良いのだが、"除外事項"に関しては、時代背景も考
  えて、検討し、改善すべきだと思う。なかなか、改善されないのは、マグ
  ロに関する業界団体の圧力が、強いというのは、容易に推測される。

  アスベスト問題もそうだが、業界よりも、まず、「消費者の安全を第一」
  に考えてもらいたい。
───────────────────────────────────


【こんな"モノ"、食べるんかい!?】

 実は、今回(8月12日)出された「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注
意事項の見直し」というのは、名称からも分かるように、平成15(2003)
年6月に出された「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」の改訂
版です。

 前回と大きく変わった点は、昨今の食生活では欠かせなくなった「マグロ類」
が、注意喚起の中に、加わったということだ。これは、消費者団体などから、
突き上げられて、渋々、付け加えたというのが、実情である。

 ある消費者団体は、「魚介類からの水銀摂取が多い日本人の食生活の特徴か
ら、国際基準を上回る厳しい基準が、必要。水銀の有害性を、消費者に、徹底
的に知らせるべきだ」と主張している。

 消費者に、より知ってもらうためには、普段、あまり食べていないような魚
で、注意喚起をしても、意味がないということだ。かなりの割合で食されてい
る「マグロ類」を挙げてこそ、消費者に対する影響力が大きくなるのである。

 私も、この主張には、賛成である。しかし、厚労省は、チョッと腰が引けた
印象を持つ。それは、以前に、病原性大腸菌O157による食中毒で、「カイ
ワレ大根の風評被害」を招き、業界団体から、突き上げを食らったからだ。

 だから、今回は、事前に、伏線を引いている。「食品からの水銀の平均摂取
量は、妊婦での耐容量の6割程度。胎児への影響が、懸念される状況ではない」
と、過剰に、反応し、心配しないように、呼び掛けている。

 それもそのはず・・・

 「カイワレ業界」より、圧倒的に、力を持ち、影響力がある「マグロ業界」
を相手にするのである。ケツの穴の小さい厚労省のお役人が、必要以上に、気
を遣うのは、至極当たり前であろう。

 それは、"注意喚起"の中にも、現れている。
───────────────────────────────────
[妊婦が魚介類を食べる場合の目安] 1回約80g食べるとした場合の頻度
───────────────────────────────────
★2ヶ月に1回まで(1週間当たり10g程度まで)

 バンドウイルカ

★2週間に1回まで(1週間当たり40g程度まで)

 ゴビレゴンドウ

★週に1回まで(1週間当たり80g程度まで)

 キンメダイ メカジキ クロマグロ(ホンマグロ) メバチ(メバチマグロ)

 エッチュウバイガイ ツチクジラ マッコウクジラ

★週に2回まで(1週間当たり160g程度まで)

 キダイ クロムツ マカジキ ユメカサゴ ミナミマグロ(インドマグロ)

 ヨシキリザメ(筋肉) イシイルカ

★通常の摂食で差し支えない

 キハダマグロ ビンナガ(ビンチョウマグロ) メジマグロ ツナ缶
───────────────────────────────────

 このリストを見て、妊婦さんだけじゃなく、普通の人だって、「何これ??」
と思ってしまうんじゃないの。食ったことがあると言えば、「マグロ類」で、
バンドウイルカとか、イシイルカとか、名前は知っているけど、イルカを、食
い物だとは思わないもんなぁ〜。本当に、ごく少数だろう食べていても…。

 まして、ゴビレゴンドウって、一体何?これは、ハクジラの一種らしい。他
にも、ほとんど、食べたことがないモノのオンパレード。何か、「マグロ類」
をあまり目立たせないように、カムフラージュした感さえ、否めないよ。

 確かに、"メチル水銀濃度"においては、バンドウイルカ(検体数5)で6.60
ppm、ゴビレゴンドウ(検体数4)で1.50ppmと、基準値である0.3ppmを、
大幅に超えている。生物の観点から行くと、問題があるかも知れないが、食物
の面から言うと、元々、食す人も少ないのだから、あまり問題はない。

 食物の点から問題があるのは、インドマグロ(検体数8)で1.08ppm、クロ
マグロ(検体数19)で0.81ppm、メバチマグロ(検体数16)で0.74ppm
と総じて、「マグロ類」が基準値を、約2.5〜3.6倍も超えていることだ。

 だから、こういう通達を出すならば、先ず、「マグロ類」とその他のモノを
分けて、冷静に、数字や他のファクターなどと照らし合わせて、吟味してみる
こと。どう考えたって、食べ物として、一番食され、重要なのは、「マグロ類」
に間違いないのだから。

 その上で、今回だったら、妊婦さんや消費者の安全を、第一に考えて欲しい。
業界も、自分達の利益ばかりを考えずに、圧力はほどほどにして欲しい。妊婦
や消費者の方々も、パニックになり、過剰には反応せず、自分達にとって、何
が一番良いのか、経験や知識、他人の意見なども加味して、冷静に判断するこ
とが、肝要である。


 厚労省さん・・・

    「どちらにしても、"食べ物"に絞って評価していただきたい」


 **"リスクメーター"とは一体何?・・・→ http://tinyurl.com/y47p8n

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