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"PTSD"とは一体何なんだ!?


 尼崎のJR西日本で起きた大惨事。最近はこういう場合、直ぐマスコミで取
り上げられるのが、"PTSD"という精神的な疾病。漠然と知ってはいるが…。

【"PTSD"とはどういう疾病?】

    PT…Post-Traumatic S…Stress D…Disorder

 日本語では、「(心的)外傷後ストレス障害」と訳されることが多い。

 「それじゃ、この言葉(疾病)は、いつくらいから認知され始めたのか?」

 正式には、1980年、米国精神医学会が発表したDSM−2(精神疾患の診
断と統計マニュアル第2版)の中に、「不安障害」のカテゴリーとして、登場し
た"診断概念"。その後、徐々に認知され始めた。

 それまでも、「レイプ」「家庭内暴力(DV)」「児童虐待(Child Abuse)」な
どによって、ある種の"トラウマ症候群"が存在するのは、気付いていましたが、
統合的に、"診断概念"として取り上げられたのは、これが初めてであった。

 日本では、1995年の「阪神淡路大震災」や「地下鉄サリン事件」から、
マスコミ報道などを通じて、一般的にも、認知されるところとなった。

  「それではどういう風に診断されたら、"PTSD"となるのか?」

 前出の米国精神医学会が発表しているDSM−4には、"PTSD"の特徴と
特徴的な反応における診断基準を、以下のように記している。

───────────────────────────────────
[特徴] その人が、"外傷的出来事(トラウマ)"を経験していること。
───────────────────────────────────
●地震、洪水のような自然災害や、戦闘、暴行などの"外傷的出来事(トラウマ
 )"を、その人が、直接、個人的に経験している場合や、災害や暴行によって、
 大きな怪我をしたのを目撃したり、不自然な死を目の当たりにするなど目撃
 している場合や、症例は少ないが、身近な人が、そういった状況になったこ
 とを知った場合も同様。

 しかも、これらの人々の反応に「強い恐怖」「無力感」「戦慄」が伴ってい
 なければならない。その上で、それらに引き続く、次に挙げる"特徴的な一連
 の反応"が確認される必要がある。
───────────────────────────────────
[特徴的な反応1] 外傷体験が、再体験されるということ。
───────────────────────────────────
●その"外傷的出来事"の反復的、かつ、侵入的で、苦痛を伴う"フラッシュバッ
 ク"(過去のことが突然蘇える)が挙げられる。例えば、その出来事についての
 "反復的な悪夢"や、"外傷的出来事"が、再び起きたかのように行動したり、
 感じたりするような"侵入的なこと"が生じ、本人の意思に反して、しつこく
 再体験される。

 また、"外傷的出来事"を思い出すような刺激に触れると、あたかも、外傷体
 験が、再び蘇ってきたかのような錯覚がある。そのため、心理的苦痛や生理
 的反応が起きて、恐怖の余り、汗がじっとり出たりなどの苦痛を伴う症状。
───────────────────────────────────
[特徴的な反応2] 外傷に関連した刺激の持続的回避や、全般的反応の麻痺
            (感情鈍麻)という症状を呈する。
───────────────────────────────────
●"外傷的出来事"に関連した刺激の持続的回避では、外傷体験に関連する会話、
 感情、場所、人物、活動などを避けようと努力する。場合によっては、外傷
 の重要な局面について、想起不能(解離性健忘)になることもある。

 全般的反応性の麻痺では、以前は、楽しんでいた活動への関心が薄れ、他人
 から孤立したような感覚や、親近感や優しさというような人間らしい感情を
 感じる能力が低下し、生活全般から、逃避し、引きこもりが見られる。
───────────────────────────────────
[特徴的な反応3] 過覚醒(自律神経系の興奮及び過覚醒)の症状を呈する。
───────────────────────────────────
●なかなか、寝付けない入眠困難や、途中で、目が覚める中途覚醒、時には、
 全く眠れないという不眠状態に陥ることもある。また、集中力が散漫になっ
 たり、過剰に過敏状態になっていて、ホンの小さな物音などにも、ドキッと
 するような過度の警戒心が生じてくる。

 上記3つの反応が、「1ヶ月以上続いていること」。それらの障害のために、
「顕著な苦痛を生じている」「社会生活が送れなくなっている」「問題が生じ
ている」というような状況や症状が全てある場合に
                     ↓
───────────────────────────────────
                 『"PTSD"であると診断される』
───────────────────────────────────

  「皆様の周辺にも、思い当たる人がいるのではないかと考えられる」


【"PTSD"に関するデータ】

 "PTSD"は、比較的多く見られる精神障害に、分類される。次に実例を含
め、それらのデータを列挙してみる。
───────────────────────────────────
["PTSD"の生涯罹患率]
───────────────────────────────────
 男性 5%  女性 10.4% → 女性>男性の「約2倍」

*おそらく、年々、この罹患率は上がっているんではないかと予想される。現
 代社会における"ストレスの多い生活"や"情報量の多過ぎる暮らし"などがそ
 れを助長している。
───────────────────────────────────
[自然災害など同じトラウマ体験に晒された場合の"PTSD"罹患率]
───────────────────────────────────
          女性>男性の「約4倍」
───────────────────────────────────
*米国では、「戦闘後遺症」「レイプ後遺症」としての"PTSD"が、よく取
 り上げられ、長期間に渡って、詳細に研究されている。
───────────────────────────────────
[ベトナム戦争退役軍人の"PTSD"生涯罹患率] 30%(一般男性の約6倍)

[レイプ被害の女性の"PTSD"生涯罹患率]   32%(一般女性の約3倍)
───────────────────────────────────
★「"PTSD"は他の精神障害を合併しやすい」
───────────────────────────────────
["PTSD"患者のうつ病、"PTSD"以外の不安障害、物質使用障害の生涯罹患率]
───────────────────────────────────
  男女共に、「80%以上」というとんでもない高率になっている。
───────────────────────────────────
次に、アメリカのデータでは・・・
───────────────────────────────────
[アルコール乱用依存症との生涯合併率] 男性 52% 女性 28%

[薬物乱用依存症との生涯合併率]    男性 35% 女性 27%
───────────────────────────────────
カナダでは、次のようなデータも存在する。
───────────────────────────────────
[中絶後の女性] 少なくとも19%が、"PTSD"と診断される症状に苦しん
 (8週間後)  でいた。およそ半数の人に"PTSD"の症状の全てではない
        が、多くが表われ、20〜40%の人が、中絶経験に関係し
        た中〜高程度のストレスと逃避行動を示した。
───────────────────────────────────

【ちょっと気になる"PTSD"にまつわる事例】
───────────────────────────────────
1.より複合的な"PTSD"にどう対処するか?
───────────────────────────────────
 現状では、極めて限られた"単発性の外傷的出来事"のみを取り上げて、その
結果、生じたトラウマ後遺症を"PTSD"であると定めている。

 しかし、実際に大きな問題なのは、より慢性的であり、より重症である、長
期に渡って、反復的に繰り返される家庭内暴力(DV)や児童虐待(Child Abuse)
のような外傷的出来事を経験してきた人達の治療である。

 そういうことを重大に受け止めた米国の精神科医ハーマンは、既存の"PTSD"
の概念では、充分でないとして、"PTSD"とは別に、"CPTSD"(Complex-PTSD=複雑
性心的外傷ストレス障害)として、区別しようとする研究者も増えている。

 ハーマンの見解は、「重篤な虐待が反復され、それが長期間に渡るような場
合、特に、児童期の身体的・性的虐待のように、人生早期に生じている場合に
は、思春期以降、境界性人格障害、身体化障害、解離性同一障害などが高率で
生じる。そのため、より複合的な"PTSD"概念が、必要となる」というものだ。
───────────────────────────────────
2."強いトラウマ"は、脳を破壊する!?
───────────────────────────────────
 トラウマ(心的外傷)を残す激しいストレスを経験した場合、脳で新しく作ら
れる神経細胞の数が、ストレスを受けてから、一定期間後に激減することが、
5月6日までに、金沢大薬学部の米田幸雄教授(神経化学)のマウスを使った実
験で、判明した。

 実験は、マウスを狭い檻に入れ、メトロノームの音を聞かせながら、「3時
間水に浸す」ストレスを与え、脳の変化を分析。実験後、マウスの海馬で作ら
れる細胞の数が、緩やかに減ってゆき、5日後に、激減した。

 その後、新生する細胞の数は、回復し、14日後に、元の水準に戻った。し
かし、このマウスは、約二ヶ月間、メトロノームの音を聞かせると、「フラッ
シュバック」が起き、怯えたような様子で動かなくなる状態が続く。

 実験後、再度、水中に入れると、静止状態になった上、その時点から、5日
後、新生する細胞の数が、再び激減したとのことである。既に、人間において
も、"PTSD"の患者には、脳を司る「海馬」が萎縮する症例が多いことは知
られている。
───────────────────────────────────
3."PTSD"を不正使用する輩が増えている!?
───────────────────────────────────
 "PTSD"に関して、私は、チョッと気になっていることがある。確かに、
こういう人達が多くいることやなってしまうような状況が存在することは、決
して、否定しないし、出来るものでもない。

 ただ、マスコミが何かある度に、"PTSD"を連呼することについては、違
和感を感じている。もしかしたら、影響されやすい人などは、その報道だけで、
ならなくてもよかった"PTSD"に罹ってしまうかも知れない。

 しかも、実際は、"PTSD"には罹っていないのに、うまくこの病気を利用
し、儲けたり、人を脅したりするような輩も、激増している。こういう精神的
な病は、外側から見ただけでは、判別できないからだ。

         「ある意味、"自己申告制"」である。

 本当に罹っている人は、当然、こんな余裕はないのだから、「自己申告の似
非"PTSD"人」の存在が、とても憎たらしい。似非病気までも、商売に結び
つけてしまうのか…。少しやりきれない気持ちになる今日この頃である。

───────────────────────────────────
「"PTSD"の概念がなかった昔の日本では、これら対象になる人々を、

 簡単に"根性がない"とか"怠け者"とかのレッテルを貼っていたのだろう」

 
**来週は『"PTSD"の具体的な対処法と治療の最前線』を取り上げます。
   http://www.unlimit517.co.jp/ana96.htm

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